突然だが、私はわりと初期のころからのPerfumeのファンである。
ライブにも何度か足を運んだ。
そのPerfumeのPVなどを手がけている真鍋氏。
「自分でも肩書きをなんて言えばいいのか難しい」と笑う真鍋氏は、
その発想力とプログラミング技術を駆使し、
モノや身体と音・映像をつなげるなど、刺激的な創作活動でおなじみだ。
IAMAS(情報科学芸術アカデミー)で学んでいた10年前には、
レコードのターンテーブルと映像を連動させる作品などに取り組んだ真鍋氏。
その後、山口情報芸術センター(YCAM)における内橋和久+UAのコンサート「path」などに参加する。ここでは声と音に反応して、光や映像が変化する先鋭的なステージシステムを実現。「ただ、このころはすごくビンボーでしたね(苦笑)」とのこと。
転機となったのは、やはり実験的なインタラクティブシステムを扱いながら、商業イベントなどで「仕事」としても活かしている石橋素さんとの出会いだ。
ふたりは意気投合し、石橋さんの会社・DGNを設立、ハイブランドの発表会やセレクトショップのパーティのために、テクノロジーとファッションを融合させた表現を展開していく。
その後2006年には、真鍋さんも自らRhizomatiks(ライゾマティクス)社を設立。多分野の技術者やクリエイターが集い、外部の才能とも関わるかたちで活動を続けてる。「会社というより集団」という同社においては、真鍋さんは実用性よりも美、美よりも「面白さ」を重視しているとのことだ。
LED内蔵の巨大風船を音楽にシンクロさせ、メンバーが銃を撃つ仕草と共に遠くの風船がはじけるなど、マジカルな演出がいまも語り草になっているそうだ。
その後、Perfumeの振り付けやライブ演出を手がけるMIKIKOさんをモデルに、3Dスキャナ/プリンターを使ったゾエトロープ(回転型パラパラまんがのような装置)「16 formes」をつくるなど、コラボレーションが発展していく様子も興味深い。
実際にそのときの動画があったので、見てみる。
【LIVE】Perfumeの掟(2010)【TOKYO DOME】 – YouTube
もはや、ライブとは、音楽を聴きにいくだけではなく、
それと連動した演出を楽しむところだということがよくわかる。
真鍋氏の先進的な取り組みは、「実験」のような要素も感じられて、
その場にいる観客たちは子どもに帰ったようにワクワクしてしまう。
同時代の目撃者として、どんどん広がっていく表現を見逃さないようにしたい。