クールジャパンといわれ、海外で日本のカルチャーが注目されつつあります。
ですが、まだまだ成功している事例は少ないのが現状です。
私は言語という壁や、日本と海外でのマーケティング手法などが違ってくるというのが主な理由だと考えています。
日本発で海外に日本のポップカルチャーを拡める方法として様々な手法がありますが、その中でも近年注目されているのはクラウドファンディングです。
北米最大を誇るKickstarterでは、数々の日本発のアニメ・マンガ・ゲームのプロジェクトが立ち上がり立て続けに大成功しています。
今回は、Kickstarterをきっかけに、秋葉原から世界へ日本のポップカルチャーを発信していくアートマガジン「Akiba Anime Art Magazine」の事例を紹介したいと思います。
「Akiba Anime Art Magazine」は、日本のアニメなどを世界へ発信する雑誌で、JHラボという日本のベンチャー企業が立ち上げたプロジェクトです。
Akiba Anime Art Magazineは、日本人のイラストレーターとして海外でも注目をされているJohn Hathwayさんを中心に、初音ミクのキャラクター原案を手がけたKEIさんや、ワダアルコさん、フジちょこさんなど、アニメやマンガ、コスプレで活躍しているアーティストが数多く参加しています。
このプロジェクトは2013年8月にKickstarterにてプロジェクトを立ちあげ、必要額を4500ドルに設定していました。
しかし、公開から48時間足らずで目標金額を達成。同年10月13日のプロジェクト終了時には、約1500人から、目標金額の16倍にあたる74000ドルが集まり、大成功を収めました。
では、何故このプロジェクトが大成功したのでしょうか?
その一番の要因として、有名なアーティストを揃えているというのも前提にありますが、それ以外に下記の3つが挙げられるでしょう。
1.ファンが支援しやすいリターンが豊富に設定されている
2.アドオンやストレッジゴールの設定によるアップセルが上手い
3.ストーリーやアップデート(近況報告)などの魅せ方が上手い
上記でも述べた通り、本プロジェクトはそもそもの目標金額がほかのプロジェクトに比べそこまで高くないことから、リターンも比較的支援しやすい金額となっています。
しかし、それでも、達成率1600%というのは並大抵のことではありません。
本プロジェクトのリターンは、ファンが支援しやすい金額が細かく設定され、かつそれらがファンにとって非常に魅力的なものの数々であるというのが、支援を加速させたのでしょう。
本プロジェクトはリターンが豊富に用意されているだけでなく、アドオン(少しの金額をプラスすることで貰えるおまけ)やストレッチゴール(目標金額より高い金額を達成した場合の追加要素)も魅力の一つです。
なぜなら、ポストカードやTシャツ、タンブラーなど、オタク心をそそるグッズが少しの金額プラスすれば手に入るのです。
ストレッチゴールも、プロジェクト開始2日で目標金額を達成したことで、その後も順調に支援額を伸ばしていきました。
$1:ご寄付という形です。
$5:PDFデータのAKIBA ANIME ART MAGAZINE電子書籍です。
$15:期間限定の早期割引によるAKIBA ANIME ART MAGAZINE本になります。
$18:AKIBA ANIME ART MAGAZINE本のみです。
$26:期間限定の早期割引によるAAAMagazine本 + 3D画集 + 3Dメガネ
$30:AKIBA ANIME ART MAGAZINE本 + アーティストによる3D立体画集 + 3Dメガネ
$55:AAAMagazine本 + 3D画集 + 3Dメガネをそれぞれ2個ずつ
$125:AAAMagazine本 + 3D画集 + 3Dメガネ + JohnHathway同人誌2種類
$130:AAAMagazine本 + 3D画集 + 3Dメガネ+ポストカード6種 + Tシャツ + タンブラー + マウスパッド + トートバッグ + 折ポスター8種類 + iPhone5ケース
$350:上記の全セットと同様ですが、折ポスターに全メンバーのサインが入ります
$600:JohnHathwayによる購入者の写真を元に魔法町キャラクターにカラーラフで描きおこします。
$1000:JohnHathwayの絵の中にあなたの写真を元にしたキャラクターが登場します。その絵はマガジン&ポスターに掲載されます。キャラクターは遠い距離に小さく登場します。
$1300:JohnHathwayの絵の中にあなたの名前や広告などを看板として入れます。その絵はマガジン&ポスターに掲載されます。
$2000:JohnHathwayの絵の中にあなたの写真を元にしたキャラクターが登場します。その絵はマガジン&ポスターに掲載されます。キャラクターは比較的近い距離に大きめに登場します。
$5000 JohnHathwayの絵の中にあなたの写真を元にしたキャラクターが登場します。その絵はマガジン&ポスターに掲載されます。キャラクターは比較的近い距離に大きめに登場します。さらに美術作品として限定数1のジークレー版画のキャンバスパネル(600mm x 956mm程度)がつきます。こちらは販売用としては唯一のエディションになります。
(参考/https://www.kickstarter.com/projects/1868020927/akiba-anime-art-managize-vol00-otaku-pop-culture-s/description)
そして、全てのリターンが画像と共に紹介されており、アドオンやストレッジゴールにおいても画像が用意されているため、リターンとして受け取るもののイメージがつきやすいというのも上手いです。
また、ストーリーや近況報告の更新頻度も高く、ファンの目線で書かれており、魅せ方がとても上手です。
ファンのことをしっかりと理解し、ニーズに応え、そしてファンに期待を持たせることで支援を促したことが、本プロジェクトの成功につながったのでしょう。
クラウドファンディングに限らず、プロジェクトのターゲットは誰なのか、そのターゲットが魅力に思うポイントやニーズは何なのかといったことをしっかりと分析し戦略的にプロジェクトを進行させていくことが成功するために大切だと、私は考えます。