かつて社会現象を起こしたたまごっちが変化を遂げている。
「たまごっち」は1996年よりバンダイから発売されているキーチェーンゲーム、またはそれに登場するキャラクターを指す。手のひら大くらいの卵型の端末には、時代に沿って通信機能が追加されたり、液晶がカラーになった。キャラクターにエサをやったり掃除をしたりして、コミュニケーション次第で成長後の姿が変わるといったものだ。
たまごっちは発売以降、1997年頃を中心に、本来のターゲット層である女子高生以外にも広がるブームとなった。たまごっちを持っていることがステータスとなり、複数個もちしている人や、たまごっち専用の託児所が現れたりした。たまごっちを求め店には開店前から長蛇の列ができ、高額転売や模造商品が増加した。この時代はたまごっち第1期(誕生期)と呼ばれ、このシリーズは全世界で4000万個を売り上げたものの、ブームの沈静化とともにバンダイは45億円の赤字となった。
2004年頃からの第2期(ツーしん期)には、第1期の失敗を踏まえ、ターゲット層を小学生に絞った。また、赤外線通信機能が追加され、コミュニケーションツールとしても活用されるようになった。玩具店に通信専用の端末「でかたまごっち」が置かれたり、アーケードゲーム化されたりもした。
第2期の大きな特徴としては、ユーザーのたまごっち同士を結婚されられることや、携帯と赤外線通信できるようになったことがあるだろう。また、この頃からオフィシャルショップが開店し、アニメ映画化もされた。
第2期ブームが沈静化した2008年頃からは液晶画面がカラーになり、ドット数も増えたことでキャラクター表現が豊かになった。キャラクターも一新され、女児向け商品へと変化した。
2009年よりダウンロードでオリジナルたまごっちを作れるようになり、2016年に発売された「Tamagotchi m!x」では結婚したたまごっちから生まれる子供は両親の特徴を受け継ぐ、という遺伝システムが追加された。
女子高生向けに生まれたたまごっちは、幅広い世代に親しまれ、20年の時を経て女児向けへとターゲット層が絞られてきた。バーチャルなペットからコミュニケーションツールへと、時代のニーズに答えてきたたまごっちだ。しかし、最近は幼児もスマートフォンやタブレットでゲームをするようになり、このようなゲームが生き残るのは容易ではなくなってきた。この先もたまごっちは多くの人に親しまれる存在で居続けるのだろうか。