今回のレポートテーマ。アール・ブリュットとは、直訳で「生の芸術」。正規の美術教育を受けていない人が生み出した純粋な表現、衝動に従った自由な創造、造形のことをいう。
これらの作品を生み出していく者には子供や知的障害者、精神障害者が描いたもの、芸術作品で生計を立てたり、既存の団体に発表することなく孤独に作品を作り続けた人達、刑務所で初めて絵画を描いた人達の作品も含む。そして今回はその中で知的、精神障害者たちのその活動について取り上げていきたい。
障害者がアートに触れるというのは、そう珍しいことではない。しかしどこでそのような活動をしてどこで発表しているのかと問われると一般的に認知度が低い。しかし、そういういった生み出し、海外に作品を発表するまでいたっているアーティストたちがここ大阪にもいることをご存じだろうか。
大阪阿倍野橋にある「定非営利活動法人コーナス」。地域活動、クッキー製造、清掃活動など、社会の一員としての地道な活動を支援している団体で、その活動の一つとしてアート活動も取り入れており、立体造形、音楽と幅広いジャンルのものを所属するメンバーは自由に創作し続けている。
そこに所属しているアーティストのひとり、西岡弘治さんは書家として創作にとり組んでいるのだが、ファッションド「NUDE:MM」のデザイナーがネット上で彼の作品を見てtシャツにしたい、ということから彼の作品をベースにtシャツが作られ、その展示会がパリで行われ、彼らの活動に注目が置かれるようになった。ほかに所属しているアーティストで大川誠さんという方がいる。平面とフェルト人形作品を制作している方で、3月下旬に阿倍野ハルカスにて展示会が行われたのだが、私もその展示会の準備を手伝う機会を頂き、参加した。そのときはアール・ブリュットというものをまだ理解していなかったのだが、実際に彼の作品に触れてみると、強く引き付けられるようなものを感じたのが記憶にある。
障害者というと、昔は会的に立場の低いものという位置づけであったが、現在の日本はそういった壁が無くなっているに等しい環境になっている。しかし前述にも書いたように、そういった活動が表だって紹介されることがないように見える。テレビでそういった活動を紹介されることが特別番組で年に1度あったりもするが、その紹介にはい印象をうけなかったりもした。
西岡弘治の作品をみたとき、まだそのデザイナーは彼が自閉症を抱えているとは知らなかった。彼らが1人のアーティストとしてみとめているにはやはりそういった偏見がなくならせるよにならなければいけない。