皆さんは雑誌などで読者アンケートを書いたことはあるだろうか。好きな作家の応援のため出すという人もいれば、懸賞が欲しいから出しているという人もいるだろう。今回は、主に漫画雑誌の読者アンケートから、それが与える影響について書きたいと思う。
そもそも読者アンケートはどのようなメリットがあって、何のために行われるのだろうか。
まず編集側のメリットは、
・読者の傾向や、それぞれの作品がどの年齢層に人気があるかの手がかりとなり、多くの読者に求められる雑誌へと成長できること
・それが分かることで作家を育てる指針にもなること
・そして単行本化するとき、その作品が新人作家のものであっても、どれほど人気があるかということを示している数値は、営業・販売に対する大きな説得材料になること
大きく分けてこの3つがあげられる。
そして読者側のメリットとは、
・応援する作品を継続してもらえること
・応援していた作家の復帰を期待できること
・その作品がアニメ化したりグッズ化するなど、多くのメディアで楽しめるようになること
・抽選で何かがもらえること
など、ファンにとっても、なんとなく買ったという人にとっても良い点がある。
逆にデメリットについてもあげるとすれば、
・人気の低い作品は打ち切られてしまうこと
・たとえ徐々に面白くなっていく作品であっても、始めに人気がなければ切られてしまうこと
・少年向けの雑誌であるのにアンケートをだす人に女性が多いと、自然と女性向けになってしまい、雑誌のコンセプトがずれてしまうこと
だ。特に読者アンケート主義の雑誌であればこれらの点が顕著に表れてしまう。
ちなみにアンケートのつまらなかった作品の欄に名前があがっても、興味は持たれているということで最低評価にはならないのだそうだ。
このように読者アンケートにはメリットデメリットがあるが、基本的にはその雑誌の売り上げを伸ばす大切な情報となるだろう。そして今、編集者と読者視点で書いてきたが、一番このアンケートに影響を受けるのは作家であると思う。
特にアンケート重視の雑誌は、新人でも一気に人気作品となり世にでることができる変わりに、アンケートで評価が低い作家はいつ打ち切られるか分からないうえ、その作品の良さが出る前に終わってしまうこともある。逆に人気がありすぎると、切り良く終わらせてもらえず、結果だらだらと物語を引きずっていきつまらなくなってしまう危険がある。
読者アンケートは、作家や編集を育て、その人達のモチベーションの向上にも繋がるある種の育成ビジネスのひとつである。しかし編集者も作家もそれに引きずられすぎず、自分のこだわりや想いをつらぬいて行って欲しいと思った。