キュレーションメディアという言葉をご存じだろうか。
キュレーションという言葉は、もともとラテン語で「世話役」といった意味を語源に持つ。一般的には、美術館などで企画展を組む役職を「キュレーター」と呼び、キュレーターは特定のテーマに沿って作品を収集、選別し、それぞれの作品を配置、展示するといった役割を担っている。キュレーションメディアにおいてのキュレーションという言葉の意味は、インターネット上の情報を収集しまとめ、収集した情報を整理し、つなぎ合わせて新しい価値や意味を持たせて共有することである。
近年では、いつどこにいても知りたいと思ったときに情報を得ることができる。
気になることがあればすぐにPCやスマートフォンを使ってインターネットサイトを観覧することができ、そういったシステムが身の周りにあることは、私たちにとって当たり前のこととなっている。だが、インターネットにはありとあらゆる情報が溢れている。興味をもった事柄についての情報を得るためには、膨大な量の情報の中から自分が知りたい情報を見つけ出さなければならない。
検索エンジンを使って知りたいことについて検索して情報に辿り着くにはある程度の時間がかかるし、自分で情報を選別するので得られる情報に偏りが出てくる。
特定の情報について調べているとき、なかなか情報に辿り着けない、という体験をしたことがある人も少なくはないはずだ。自分が欲しい情報に辿り着くには、自分が必要な質の高い情報を選び出すセンスが必要とされるのだ。
そのような状況下、インターネット上の情報を特定のテーマに沿ってまとめ、わかりやすく提示してくれる「キュレーションメディア」が注目を集めている。
スマートフォン向けに作られている場合が多く、キュレーションメディアには様々なタイプがある。
無料のニュースキュレーションアプリ、グノシー(Gunosy)は、TwitterやFacebookで言及していることなどからユーザーの興味を解析し、ユーザーの興味にあった記事が配信されるシステムだ。自分の興味のある情報を探す必要がないので時間がない生活でもニュースをチェックすることができるWebキュレーションサービスのNAVERまとめやMERYは様々な情報をユーザーが独自の視点で収集して組み合わせ、ひとつのページにまとめてインターネット上に公開する。MERYは若い女性をターゲットにしており、ファッション、美容、グルメ、ライフスタイルといったカテゴリーに分類されており、雑誌のような感覚で今流行しているものを知ることができる。
MERYリンク: http://mery.jp/
こういったサーキュレーションメディアを利用して自分が必要とする情報を得られるのは、とても合理的なことだ。受け取り手が興味を持ち必要とするコンテンツを提示する、というこの部分は、デザインをしていく上でも大切なことだと私は考える。今何が旬で何が必要とされているのか、を読み取り提供する能力が今後の私たちには求められているのではないだろうか。