今回の題材であるジェネレーティブアート。
ジェネレーティブアートとは、コンピュータソフトウェアのアルゴリズムや数学的/機械的/無作為的自立過程によってアルゴリズム的に生成、合成、構築される芸術作品のことを指す。(Wikipediaより引用)
ジェネレーティブアートという言葉はあまり聞き慣れないが、上記画像のような作品は度々目にしたことがあったので、「これをジェネレーティブアートって呼ぶのか」と初めて名前と物が一致した。
ジェネレーティブアートはプログラムによって機械的にデザインを生成させるので、有機的かつ偶然性のある表現ができる。
有機的なデザインというのは、本来誰もが苦手としているはずだ。だがこの手法を使えば、人間の操作では難しい、人口と自然の中間のような作品を作り出すことができるのだ。
今回は、『すべてがFになる』というアニメのED映像を取り上げたいと思う。
この映像は映像作家/デジタルアーティストである橋本麦が手がけたもので、ジェネレーティブアートによってアニメの世界観が表現されている。
・橋本麦
映像作家、デジタルアーティスト。
1992年生まれ, 武蔵野美術大学中退。実験的なルックやジェネラティブな手法を得意とし, 映像作品から電子工作, Webまで縦横無尽にクリエイションする。これまでgroup_inou, Koji Nakamura, みみめめMIMI等のアーティストのMVを手がける。映像作家100人2015掲載。
アニメの内容がコンピュータ技術を主題とした理系ミステリーということに因んで、大部分がプログラミングで作られているそうだ。映像のビジュアルもコンピュータの回路やプログラミング言語のようなモチーフが登場し、デジタルな世界観が表現されている。
デジタルがテーマになっているため、無機的なものをイメージしがちだが、この映像では機械的な中にもどこか動きのある生命感のようなものが感じられる。本来無機質なはずのモチーフが生き物のように動き、生きているようだ。ジェネレーティブアートによって、有機質と無機質が自然に融合しているように思える。
こういった人間の力だけでは生み出すことができない、モチーフに自然な生命を感じられるような表現を可能にするジェネレーティブアートには、大きな可能性を感じられる。そこに我々人間の思想が合わされば今までになかったような新しいデザインを作ることができるだろう。