VR技術は幅広い分野で利用されているが、その中でも私達にとってとても有益なのが医療分野への活用だろう。
「HoloeyesXR」(XR:VR、AR、MR等の先端技術の総称)は現在、複数の医療機関で導入されている。患者のCTスキャン画像から3D画像を生成し、術前の手術計画や術中の医師同士のコミュニケーションや遠隔治療などに利用されている。
これまでのCTスキャン画像は平面的で、複雑な手術の際には細部が確認できないというデメリットがあった。しかし、HoloeyesXRは、そのCT画像からAIで臓器、血管等を識別し、3D画像を自動生成する。また、自由に回転・拡大縮小ができるので、CT画像では確認できなかった部分を詳細に見ることができる。また、術中には画像を患者に重ね合わせることで、適切な切開位置をはかることもできる。
操作はジェスチャーで行えるので、術中でも衛生的に使用ができる。手術スタッフ同士で画像の共有もできるので、術中のコミュニケーションの円滑化にも役立っている。
Holoeyesは「手術をする医師を支えたい」という思いから、外科医やCGのプロが共同で開発している。医療に使うものは医療機関や医療機器メーカーが開発しているイメージだったが、そうではないことに驚いた。VRという先端技術を医療現場に導入するには、これまでとは違った視点の切り口が重要なのだろう。