クリエイティブコモンズについてG 17035

Web上で活躍しているデザイナーやライターといったクリエイターは、【盗用問題】に頭を抱えている人もいる。キュレーションメディアやバイラルメディアの流行に伴い、著作権をめぐるトラブルもよく聞くようになった。

クリエイティブ・コモンズは、著作者がみずからの著作物の再利用を許可するという意思表示を手軽に行えるようにするための様々なレベルのライセンスを策定し、普及を図る国際的プロジェクト及びその運営主体である国際的非営利団体の名称である。CCライセンスは“インターネット時代のための新しい著作権ルール”であり、コンテンツの作者が「この条件を守れば自分の作品を自由に使ってもかまわない」という意思表示をするためのツールである。2001年にアメリカで設立された。

この新しい著作権ルールが生まれた背景には、インターネットの普及があり、以前はすべてのクリエイティブ作品が著作権で守られているものとそうでないものの2つに分けられていた。しかし、Web上に公開されているコンテンツを誰もが自由に閲覧できるようになった現代社会においては、単に白か黒かに分けるのではなく、その中間領域である限定された権利を主張するライセンス形式が必要だと考え、つくられたそうだ。DVDで見た海賊版やリミックスを勝手に行なうことはないよう、そうして“作者の権利が守られつつ、誰もが平等に作品を共有できることが大切”という考えのもと、CCライセンスは誕生した。

日本のフリー素材サイトの利用規約には、「公序良俗に反する内容での利用を禁じます」など、禁止事項が設定されているがCCライセンスの場合、そのような禁止事項が設定されておらず、思いもよらない用途に利用されてしまう危険性があるのも確かだ。もし著作者が、意にそぐわない利用方法だと思えば、その意思を伝えて使用を止めてもらうことはできるが、CCライセンスの著作物は著作者に断りなく利用できるもの。著作者はどこで誰がどのような目的で利用したかはわからない。CCライセンスは誰にでも使いやすい反面、細かい条件を排除したため、かえって曖昧な部分が多いのだ。

現状、著作者ができることは、「CCライセンスを設定する場合は、悪意を持った人がモラルに反するような使い方をしても諦める」という覚悟をもって設定し、そして、利用者ができることは、「大事な資料や、企業のパンフレット・ウェブサイト等にはCCライセンスの著作物を使用しない」ということ。「大事じゃない」「代わりの効く」場合のみCCライセンスの著作物を使えば、何かトラブルが起きたとしても他の物に差し替えることで事は済むだろう。そして、多少面倒だとしても、大事な資料やパンフレット、ウェブサイト等には、きちんと著作者に許諾をとった著作物を掲載するべきだと思う。CCライセンスが解決しようとしている課題は、大変有意義なものではあるが、現状のCCライセンスは著作者・利用者の両方を十分に保護できるものではない。このあたりのメリット・デメリットを承知したうえで、CCライセンスを有効活用することが今後の課題といってもいいだろう。

キュレーションメディア:キュレーションは美術館や博物館の「キュレーター」から派生した言葉で、キュレーションメディアとは「特定の切り口でインターネット上にある情報を選定し、公開するメディア」のこと。例、グノシー、Yahoo!ニュースなど
バイラルメディア:バイラル(Viral)とは「ウイルス性の」「感染的な」という意味で、「バイラルメディア」とはFacebookやTwitterなどのSNSの情報拡散力を利用して、インパクト・話題性のある動画や画像を中心とした記事に、短期間で爆発的なトラフィックを集めることを目的としたブログメディアを指す。

参照:http://bakemono.jp/reading/blog/knowledge/ip/1872/

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