私はこの授業の中で、デザイン×プロレス~デザインによって進化した現代の日本プロレス~というテーマでプレゼンテーションをした。そのプレゼンテーションでは全体像を理解してもらうために何をデザインしたのかを3つに分け、できるだけ分かりやすく説明した。そのプレゼンテーションでは語りきれなかった演出の部分を今回はこのレポートで述べていこうと思う。
1954年 東京
街頭テレビに熱狂している人々
まず、プロレスの演出がどのように進化してきたのかを述べていこう。日本では力道山がデビューした1951年がプロレス元年とされ、群衆の心を掴んだプロレスはプロ野球、大相撲と並んで国民的な人気を獲得した。そんなプロレス元年には入場曲というものがなく、選手たちは無音で入場していた。1974年に初めて日本のプロレスで入場曲が使われたと言われており、そのことが演出という点においての第1歩だと私は思う。現在では当たり前のように1人の選手につき1曲入場曲がある。それほど入場曲は会場を盛り上げるうえで欠かせない演出のひとつとなっているのだ。さらにしばらくして入場VTRも流すようになった。これは入場曲同様現在は定着し、会場を盛り上げる要因となっている。数十年前には全くなかった価値観が現在のプロレスにはある。このことはプロレスの演出が数十年にわたって進化してきた証拠だろう。
進化を辿ってきたプロレスの演出だが、これからはどうなっていくのだろうか。そんな疑問に答えてくれるような入場演出を、今年の東京ドーム大会メインイベントで、王者オカダカズチカが見せてくれた。巨大スクリーンに映し出される立体的な映像。光り輝くコスチューム。最新の技術が詰まった豪華な入場演出だった。いまデジタルの技術はどんどん発展していて、プロレスもその流れに乗っている。つまり、技術が進歩するにつれてプロレスの演出も進化していくことになる。また、リオオリンピックの閉会式でも次の開催国である日本がプロジェクションマッピングを使って観客を魅了した。
プロレスだけでなく、スポーツエンターテイメントとデジタル技術は相性の良いものと言えるだろう。コンピューターの力の演出と人間の力の演出が重なったときさらなる熱狂を生み出すのかもしれない。そうなれば、プロレスおよびスポーツは、無限の可能性を秘めたエンターテイメントだといえる。私がこれから生きて行く数十年、どのように進化して行くのかをしっかり見届けたい思う。