G_21062 BanG Dream!プロジェクト『夢ノ結晶 POPY』

VOCALOIDといえば、初音ミク。

2007年初版の合成音声ソフトで、数多くの楽曲に用いられ、いまだに根強い人気を誇る。ソフト自体をバーチャルアイドルとして見立て、特徴的なツインテールがトレードマーク。その姿やキャラクターに惹かれる人も多く存在し、歌だけでなくその姿でも人々を魅了する様はまさしく「電子の歌姫」。たまにネギを振り回しているのもご愛嬌。

さて、そんな初音ミクの出現からはるばる16年程が経ち、現在ではさまざまな音声合成ソフトが生まれた。VOCALOIDも弟分(妹分?)が増えたし、読み上げ用のVOICELOIDも今では一般的である。というより私にとってはそちらの方が馴染み深い。

・VOICELOID2琴葉茜・葵。通称・琴葉姉妹。アカネチャンカワイイヤッター

しかし、今回のテーマはミクでも茜ちゃんでもなく、その系譜とも言える製品。それがBanG Dream!と合成音声ソフトウェアの合同チームCeVIO AIが共同で開発したソフト、その名も『夢ノ結唱 POPY』と『夢ノ結唱 ROSE』だ。二つあるが、今回はPOPYの方の紹介をしたい。

製品紹介の前にBanG Dream!についての説明をば。

BanG Dream!(以下、バンドリと表記)はバンド活動をテーマにアニメ、ゲーム、コミック、そしてライブなど、さまざまなメディアミックスを展開するガールズバンドプロジェクト。キャラクターとしての声も充てるのと同時に、声優たちが実際にバンドを組み、ライブも行なっているのがこのプロジェクトの魅力だ。

これが実際のライブ映像で、バンドリを代表するバンド、Popin’ Party、通称ポピパのライブ。

今回注目したいのがこちらのギターボーカル。Popin’ Partyの戸山香澄役の愛美こと寺川愛美。

愛美はブシロードグループの声優プロダクション、響所属の声優、歌手。関西出身故か快活かつユーモラスな性格。生放送でもバンドリ愛を語っている。

また、彼女が演じるキャラクター、戸山香澄も、同じくハツラツを通り越し、底抜けに明るい性格で、キラキラドキドキを求め続ける高校生の少女。

2016年からポピパのボーカルとして歌い続け、ファンの間では馴染み深い“彼女ら”の声だが、2022年末、バンドリ公式から、愛美の声を基にした合成音声ソフトが発表された。それが彼女POPYだ。

POPYは香澄の声質、癖、歌い方を非常に精巧に再現している。特に音の出し方が香澄のそれとそっくりで、よく分析されて作られた事が窺える。笑顔を浮かべた口のまま出した歌声や、高音への昇り方の再現度は非常に高い。

当然、愛美本人を完全にコピーできているかと言えばNOであり、音の繋ぎ目などにはやはり多少違和感がある。中には「ボカロっぽい」という印象を魅力として捉える人も多くいるが、それが課題の一つである事に間違いはないだろう。

chatGPTの出現は機械との「対話」という印象を大きく揺るがした。そして、このような合成音声の進歩は、この機械との対話を声を交えた「会話」へと進化させるだろう。

当然まだまだ道のりは長いが“画面の奥のあの子”と会話が出来る日は、我々が思うほど遠くはないのかもしれない。

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