今まで生きてきて数々の物を目にし、
時には圧倒させられ憧れを抱き、
ある時には絶望すら覚え落ち込んだりと、
心を動かさられ続け、現在の自分が形成されている。
そんな自分を形成した要素のうちの一つが、
「Gペン」である。
Gペンとは、作家が漫画を描くときに使う付けペンの一種だ。
このペンは、鉛筆やボールペンと違い、
ペン先が向く方向が固定されており、
つけペンを使った事がない人にとっては慣れが必要である。
このペンの特徴は、線に強弱がつけやすく、
メーカーによっても使い心地が違い、
使う人それぞれに個性が出ることだ。
中学生だった頃の自分が、
それを初めて手にとった時、
純粋に見た目がかっこいいと思った。
しかし、いざ使ってみれば、今までに体感したことのない感覚に戸惑いを隠せずにはいられなかった。
Gペンを使いこなせるようになる為には、
とにかく描いて慣れる事だと言われているのは、今も昔も変わらない。
なかなか上達しないのに腹を立たせ、
触る事が一ヶ月に一回あるかどうかぐらいの頻度の時期もあった。
そうやって過ごしていくうちに、
漫画家志望の同級生は、どんどん上手くなっていき、
それに焦りを感じた自分は、
ひたすら線や丸だけを書き殴り、もがきにもがいた日もあった。
今では、これを触るのが楽しみで仕方なく、
どれだけしんどかろうが、疲れていようが、
Gペンを使わない日なんてありえないくらい愛おしさすら感じている。
ペンを走らせる感覚やその時に鳴る音には、
いつも癒され、毎日を満たしてくれる。
嫌いな知人から、あの日Gペンを貰わなければ、今の自分はなかったと、そう思えるくらい、このペンの存在は自分にとって大きい。
このペンは、自分を「創作する人生」に導いたきっかけといっても過言ではない。