NFTとは、「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のこと。暗号資産と同じく、ブロックチェーン上で発行および取引される。従来、デジタルデータは容易にコピー・改ざんができるため、現物の宝石や絵画などのような資産価値があるとはみなされなかった。
この状況を変えたのがブロックチェーンだ。ブロックチェーンとは、取引の公明なデータをみんなで共有・記録する技術のことで、継続する取引記録データが一定量集まると1つのブロックとなり、また新規のブロックが作られ鎖のように繋がれて保存していく仕組みのことである。また、ブロックチェーン上のデジタルデータは、参加者相互の検証が入ることでコピーや改ざんをしにくくし、デジタルデータの資産価値を持たせられるようになった。ビットコインが数百万円でやり取りできるのは、この仕組みのおかげであると言われている。
これまでも、デジタルデータに電子透かしを入れるなどの方法はあった。しかし、コピーや改ざんを直接防ぐ技術はこれまでなかった。デジタルデータに唯一無二の価値を持たせることを可能にしたのがこのNFTだと言える。NFTの出現に期待できる分野は多く、デジタルアートはもちろん、ゲームやマンガ、デジタルジャケットの限定版などは利用が期待できる。
NFTを語る上でイーサリアムという物がある。イーサリアムとは、ヴィタリック・ブテリン氏によって開発されたプラットフォームの名称で、このプラットフォーム内で使用される仮想通貨をイーサである。イーサリアムの特徴として、スマートコンタラクトという仕組みがある。
また、スマートコンタラクトとは、あらかじめ設定されたルールに従って、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組みのことで、例えば、自分の 30 ETHと A さんの1 BTCを交換したい場合、先に送金した方は相手方から送金されないという裏切られるリスクがある。ここで、「 A さんが 1 BTC を送金すること」と「自分が 30 ETHを送金すること」を取引の成立条件としてスマートコントラクトに書き込み、すると、ふたつの条件が満たされた場合のみ取引が成立するため、第三者なしで効率的な取引を行うことができる。
一方でNFTの歴史は、2017年にイーサリアムブロックチェーン上で誕生した「CryptoKitties」というゲームに発端にあたる。しかし、急速に注目を浴びだしたのは2021年に入ってからで、2021年3月にはTwitter創業者のジャック・ドーシー氏の出品した同氏の初ツイートが約3億円で落札。テスラのイーロン・マスク氏が出品した音楽作品には約1億円の値が付いた。日本人では、VRアーティストのせきぐちあいみ氏が出品した作品が約1,300万円で落札されるなど、話題に事欠かない状況が続いている。
NFTの代表的な取引サービスとして知られる「OpenSea」では、2021年1月に約8億円だった月次取引高は、翌月2月には約100億円と急速に成長した。
従来は資産価値の付与が困難だったデジタルデータがNFTにより資産的価値と売買市場が形成されたことにより、アート界隈で注目を集めるようになった。さらに、上記で紹介したような高額での取引が実際に行われたことなどから、急速に注目を集めている。
NFTの将来性に関しては良いことだらけに見える NFT だが、デメリットとしては、まだ法整備が整っていない点が挙げられる。例えば、ゲームなどプラットフォームがなくなると NFT を所有していても利用できない。仮想通貨での支払いが前提なのである程度の知識が必要である。
これらをまとめると、デジタルアート作品やゲーム内のアイテムなどを販売・購入することに注目されている NFT 技術、メタバースなどの仮想世界が発達していくと共に、将来的には異なるプラットフォーム間の移動が可能になることで、新たな市場が生まれたり、ネット業界はさらに活性化すると私は考える。
参考動画:話題のNFTとはなんなのかホリエモンが初心者にわかりやすく解説 / https://youtu.be/RhJ7_dcwDpM