G12050 アイトラッキングの可能性とデザインへの応用

アイトラッキングは、心理学や認知科学などの研究分野でも用いられる、ユーザーの顔や眼球、かくまく反射を赤外線でとらえて、視線の動きをトラッキングする科学的な手法です。アイトラッキングの技術を用いることで、Webサイトを閲覧するユーザーの視線がどこに向けられているか、どのポイントを注視しているかを科学的に分析することで、アクセスログ解析やユーザーインタビューでも抽出できないWebユーザビリティの問題点を発見し、改善につなげることが可能となります。

このアイトラッキング、通常のユーザテストでは知りえない問題が発見できる素晴らしい機械ですが、注意しなければいけない点があります。それは、注視=テキストではないということです。実際、テスト後のインタビューでは「目には入ったがテキストは読まなかった」という例がいくつもありました。ヒートマップ上で注視されていたから「内容を理解してもらえた」と判断するのではなく、必ず、テスト後のインタビューで「目線だけ」なのか「内容まで理解した」のか確認する必要があります。

アイトラッキングの有名な話にバナーは目に入らないがあり、ユーザが無駄、無価値な広告と戦ってきた中で獲得したスキルがありますが、これは広告に限ったことではなく、無意識に目に入らない要素は他にもあると考えられます。(またコンテンツなのに広告風に見えてしまい、無視されているということも十分ありえます。)そのためページ全体ではなく見るべき要素を1つに絞って調査することも有効です。例えば、関連記事は本当に見られているのかSNSボタンを最初にみてから記事を読むのかサムネイルを中心に記事を探すのかといった疑問にも、アイトラッキングを使えば科学的な手法を用いて調査できることができます。アイトラッキングに慣れないうちは、このように要素を絞ってテストしてみると使い方の理解が進むと思います。

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