【G12012】情報社会とロボットの可能性

閉鎖空間探査用レスキューロボット 「Quince」というのがある。
これは、「ロボットの視覚・触覚を用いた環境情報獲得手段の開発」研究者である大野和則さん含めた研究開発プロジェクトメンバーが開発したレスキューロボットである。

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このロボットは、東京電力福島第一原子力発電所の事故調査に投入され、話題となった。
災害などが起こった際に、人間では入れないような建物内や地下街などに入ることができ、ついているカメラの映像を見て外部から人間が遠隔操作を行う。
しかし、普通だと障害物を越えるなどの操作自体に気を取られてしまい、倒れている人がいても気付かない場合もある。それでは何の意味もない。
しかしこの「Quince」には『半自律操縦支援システム』というものが備わっているのだ。
その『半自律操縦支援システム』とは、進行方向を指示するだけで「Quince」が自分で段差などを判断して進むというシステムである。開発したのはもちろんこのプロジェクトメンバーだ。

大野さんは、「指示待ちのロボットでは社会の役に立たない」と言う。
全てが人間の手でミリ単位でプログラムしたものであると、認識したものが自分の知識にある情報と少しでも違うと判断ができなくなってしまうのだ。それでは実生活の役に立たない。それが災害時などであればなおさらである。
指示待ちではなく、自分で動いて知識を獲得するロボットがこれからの社会には必要となっていく。

これは災害時だけに限らず、あらゆる場面で必要とされるだろう。
例えば介護。介護においてのロボットの役割は、介護そのものではなく、介護をする人のサポートではないだろうかと私は思う。
プログラミングされただけのロボットは前述の通り少しでも違うと対処できなくなってしまう。
介護や、医療もそうだが、どこで、何が起きるのかというのが分からない。いつ起こるかもわからず、予期せぬ事態が多い現場だ。
そういった非常事態に対処できないようでは到底役には立たない。

工場などの単純作業であれば、プログラミングされていた方が恐らく正確に、的確に作業をしていくのだろうが、人間のサポートなどをするようなロボットにはこの半自律操縦支援システムは必要不可欠だろう。
ロボットが自分で考え、自分で動くようになったとき、初めて本当の意味で人間や社会を支えていくということになるのではないだろうか、と私は思う。

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