海外が作る“zen”ゲームとスマホゲームにおける実例 G16-023

日本の文化を題材にしたゲームを探すと、意外に海外の制作チームが作ったものが多いことに気付かされます。その場合、“和風”ではなく“zen”と付くものが多く存在します。ここで言う“zen”は日本人の思う仏教一派の考え方の“禅”ではなく、『Zen Style』…禅=Zen=日本=和風=『洗練されたモノ、不要なモノを排除されたモノ』というような意味合いで使われます。“禅”は日本だけのものではありませんが、“zen”は日本風の文化を指すものとして使われます。

日本人が作る和風ゲーム、日本の伝統文化を使ったゲームとなると将棋や囲碁、花札とテーブルゲーム系か国や城、刀などの擬人化のソーシャルゲームが多く、『大神』などの洗練されたゲームはスマホ向けにはなかなか存在しません。
一方海外の制作チームが作ったzen gameはソーシャルゲームやテーブルゲームではなく、前述したように日本的で、かつビジュアル的に優れているものを目指すので、日本人が作ったものとは少し違ったものが出来上がります。
例えば、盆栽アクションパズルの『Prune』や、鯉を育成する『Zen Koi 禅の鯉』、木製の彫刻を緊縛する『Zen Bound』、箱庭探索の『Epic Zen Garden』。和紙を使用して制作された飛び出す絵本風アドベンチャーゲームの『TENGAMI』はzenとはついていませんがとても近い要素があります。どれも日本的ではありますが、何をゲームにするのか、どのようにゲームにするのかの切り口が、普段一文化として触れている日本人よりも、要素として見ることができるので斬新なものが作れるのだと考えられます。
その中でも特に、『Zen Bound』は緊縛という文化をzenと捉えた斬新なゲームです。プレイヤーのゴールは、木でできた彫刻を縄で巻きつけて色を塗っていくことです。ある程度巻きつけ、染めることが出来たらステージクリアですが、このゲームは100%に染め上げることに本質があります。何度も何度も、九割まで染め上げたとしてもまたやり直し…とその作業はまさに“禅”でもあり“zen”のゲームだと言えるでしょう。一般的には緊縛とはエロティシズムであり、アブノーマルなものだと捉えられますが、この『Zen Bound』は縄の文化圏外から要素として捉えることで完成されたゲームだと考えられます。

文化を面白く、美しくゲーム化するには一度その文化を要素として捉え、様々な方向から見ることが必要なのだと思います。その上で、その文化とどのように付き合っていくかが課題になっていくのだと、私は考えました。

参考
Zen Styleとは?日本人の心だけでなく、欧米諸国の心も揺さぶるオリエンタルデザインを学ぶ。
Zen Bound:木をもくもくと縛る iPhone緊縛プレイ。Ghost Monkeyの音楽で時間が消える。APPBANK
Zen Bound:wikipedia
Secret Exit Ltd.「Zen Bound®」
Secret Exit Ltd.「Zen Bound® 2 Universal」
Joel McDonald「Prune」
LandShark Games「Zen Koi – 禅の鯉 – 静かな水の中の旅」
Unreal Engine「Epic Zen Garden」
Nyamyam「Tengami」

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