『スーパーコンピュータを生み出すこと』
クイズ番組で人間に圧勝する人工知能。人間が3年かかる計算をわずか1日でやってのけるスーパーコンピュータ。人間が作り出したコンピュータは既に人間を遥かに凌駕している。スマートフォンを見ない日はないし、なにかを調べようと思えば何はともあれインターネットを開く。依存しているといっても過言ではない程、私たちの生活にコンピュータは欠かせないものになっている。
しかしそれ以上に驚異的なのはそれを作り上げたのが人間だという点だろう。人間とコンピュータの逆転とまで言われるほど進歩した技術は、番組内に見るだけでも多くの人を夢中にさせていた。人が人のために作っているからこそ、ここまでのものが作り上げられ、更に日を追うごと時間を追うごとに進化していく。
ただ、私は番組内でひとつ気になった言葉がある。「人間とコンピュータが逆転すれば、人は頭を悩ませ考える必要がなくなるだろう」という技術者の言葉だ。確かに、人間がするよりはるかに効率の良い、確実な計算ができるコンピュータがあればそれを人間が行う必要性はなくなるし、むしろ非効率になるだろう。現段階でもすでに、金融取引も医療現場もコンピュータの計算で格段に向上している。
しかし私は、人間が頭を悩ませる必要がなくなる、なんてことはあるべきではないと思う。なぜなら、そうした技術の粋を集めたスーパーコンピュータを生み出したのは人間がああでもないこうでもないと頭を抱えた末の産物だからだ。頭を悩ませたからいいものができるわけでもないだろうが、何かを作り出すとき思考と試行を重ねずに生まれたかといえば100%肯定もできない。
人間の力はスーパーコンピュータには到底及ばないだろう。しかし、苦悩しながらも思考することをやめられないのは、例え「頭を悩ませなくてもいい」と言われてもやめるのはあまりにももったいない特徴であり魅力であり、常に持ち続けていたい強みだと感じた。そこから生まれたものこそ、人間をも凌駕してしまうのだから。