G13049 フィギュアスケート競技会におけるオーガメントシティの活用

スポーツを生で観戦するということは、興奮、感動を得られ、
一度体験するとやめ難いものだ。

フィギュアスケートというややマイナーなスポーツの場合、
テレビ放送では映らない選手の演技も、競技会に行けばみることができるというのも、
ファンにとって観戦が重要な役割を示すひとつだ。

しかし、生でみる感動はすばらしいが、
私が実際に競技場に観戦に行ったときの状況を思い出すと、
テレビで見ているより圧倒的に、競技進行と同時に得られる情報が少ないということがある。
そのためか、競技の合間にまわりを見渡してみると、
Twitterを見ている人が多い。

選手の得点が出るのを待っている間に、急いで情報を検索し、
自分が見極めたジャンプで間違いはなかったのか、回転は足りていたかなどを、
ナビサイトやつぶやきを見るのである。

 

自分がひいきにしている選手の場合は、コーチ、振付師、曲目、ジャンプ構成などを覚えているファンもいるが、
全選手を覚えるというのは難しい。
そこで、私が助かったのが、昨年12月にさいたまスーパーアリーナで行われた全日本選手権でのモニター表示である。
「ああ、この選手にこんな振付師がついていたのか」などと発見があり面白かったのだが、
席によっては天井カメラとかぶったり、モニターの字が見辛かったりと問題点はあった。

そこで、AR機能を使って、選手の生の演技に視覚的な解説をつけられる機能があればと思った。
選手の着ている衣装がマーカーになっていれば、同じ選手でもプログラムごとに別の情報を得ることができるようだと面白いだろう。

 

 

テレビでみているような「お茶の間受け」の解説は、競技会を見に来ている人にはたぶん必要ないが、
毎年変わる複雑なルールに対応し、瞬時にプロトコルがわかるようになれば、生観戦の興奮は保持したまま、
「現地人のほうが浦島な状態」を回避できるかもしれない。

 

また、重要な情報源のひとつであり、その大会にいったものしか手に入らないという
コレクター欲をそそるものが大会のパンフレットである。

選手の写真やインタビューの他に、舞台裏の風景までのっている大会もある。
パンフレット売り場にはいつも行列ができ、大会によっては途中で売切れてしまうこともある。

パンフレットの選手の写真がマーカーになっていて、得意なジャンプを飛んでくれたり、曲に合わせて演技の一部を披露してくれるようなARがあったらと夢は膨らむ。

 

なお、パンフレットの他にも直接収入や選手の支援に結びつくスポンサーのグッヅとも選手の情報が関連していれば、
もっと付加価値がつけられるのではないだろうか。

去年の12月のグランプリファイナル福岡から新しいブースができた。
スポンサーのひとつであるキヤノンのブースにキスアンドクライ(選手が得点を待つ場所)のレプリカが設置され、
キヤノンのイオスキスで写真をとってもらい、そのままピクサスプリンターで出力してもらえるのだ。

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私も3月に行った世界選手権で実際に写真を撮ってもらったが、大行列ができていた。
キスアンドクライにすわり、花束をもってポーズをつけ、自分が選手になったような「錯覚」。
その錯覚という楽しさこそARで再現できればいいのではないかと思う。

例えば、ロビーの一角に立つとあたりはスケートリンクになり、
大会に出場している選手がまわりをすべっているというような仮想現実はどうだろうか。
自分も選手を身近に感じ、楽しむことができるかもしれない。

 

 

また、グッヅの一例を挙げるとスケートリンクを製氷するザンボニー(製氷車)のイラストのものが人気がある。

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それにARを利用して、リンクの上をキャラクターが運転するザンボが走り回ったりしたら喜ぶ人は多いと思う。

 

また、アイスショーなどで活用できそうなのが、バナータオルだ。

これは最近の流行りで、各選手を応援する公式のバナータオルが発売されている。

たくさんの人が持っているこのタオルをマーカーとして、

照明とあわせての演出などの可能性が広がる。

 

 

ひとつの競技だけをあげても、オーガメンティッド・リアル・シティへの発展性は多々見つけることができる。
テレビではなかなか取り上げられないようなコアな競技こそ、ファンの心を掴むことは大切だろう。

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